「言われたことしかできない指示待ち人間は、社会に必要とされないよ」私が実際に言われた言葉です。
仕事ができていない自分に失望したのと同時に、私はふと思ったのです。
「こんなにも頑張って仕事しているのに、どうして指示待ちの思考停止人間なんていうのだろう。まるで仕事していない、サボりのような存在に聞こえる」と。
周囲にいる部下や同僚のなかで、言われたことしかできないような人を何度も見てきたかもしれません。
でも彼らは決してサボっているわけではなく、常に全力で働いているのです。頑張って働いていても、こんなふうに言われてしまっては意欲はどんどん低下していきます。
しかし、言われたことだけをする人間はいらない。もっと自ら動いてくれる人が欲しいと思う気持ちもよく分かります。
そこで今回は、言われたことしかできない部下や同僚がいたときにどう対応すればいいのか。
また、言われたことしかできないとレッテルを貼られた人は、どうすれば剥がれていくのかご紹介します。
以下の中から自分に合うものを選んでくださいね。
言われたことしかできない人の特徴
実は言われたことしかできない人は実は真面目な人が多いです。言われたことはきちんとこなそうと考え、いつも働いています。
そのため、その人にとっては普通のことをしていると思っていますし、ちゃんと仕事をこなしていると考えています。
「もっと先回りして仕事を進めてくれよ!」とイライラしてしまうかもしれませんが、そこまで進まないのには理由があります。
言われたこと以上のことすると怒られたり、叱られたりすると考える
仕事をする上で、誰しも怒られたくないと思うのは、ごく普通のことだと思います。「怒られる覚悟で自分の信念を貫き通す」という方もいるかもしれませんが、穏便に仕事を進められるならそれに越したことはないでしょう。
言われたことしかできな人も、そうした気持ちは人一倍強く持っています。
もし良かれと思って言われたこと以上のことをすると、「余計なことはするな」と怒られたり、場が余計に混乱したり、誰かの迷惑になったりするのではないかと思っているのです。
あるいは、実際にそうした経験をしてきた可能性もあります。
もし過去にそうした経験があれば、もう2度と余計なこと(言われたこと以外のこと)をしないと心理状態になるでしょう。
率先して行動することで、何か責任を負わせられたりするのであれば、現状維持が一番だと考えています。
何をすればいいのか分からない
言われたこと以外のことをするとなると自分で仕事を見つける必要があります。しかし、何でもすればいいというわけではないかと思います。
仕事にはその時必要なものから取り掛かる必要があるからです。例えば、書類のファイル分けをして欲しいのに、部屋の掃除をしていたらどう思うでしょうか。きっと、「今して欲しいのはそれじゃないんだけどな」と思うことでしょう。
必要な仕事を必要な時に行うこと、これは誰でもすぐにできることではありません。ある程度の経験が必要になってきます。
そのため、そうした経験が少ないと何をしたらいいのか分からず、結果として言われたことしかできない人になってしまうんですね。
仕事への向上心がない
仕事への向上心がない人は、一定数存在します。何事にもやる気がないように見えますが、実はプライベートなどではとても意欲的に活動してる人も多いのです。
「そのやる気を仕事にも出してくれよ!」と感じるかもしれませんが、なかなか難しいのが現実。
なぜなら、価値を置いているものが違うからです。
仕事内容にやる気を感じている人もいれば、お金をたくさん欲しい人もいますし、プライベートの時間を最大限に楽しみたいという人もいます。
それぞれ人の価値観なので、他人が変えることはできません。脅すなどによって、一時的に変わる人もいるかと思いますが、それは倫理に反します。
「価値観が違うならもう諦めるしかないのか」と考えるかもしれませんが、その人が価値を置いているものに沿って仕事を進めてあげることで、とても動きが良くなったりします。
→価値観に沿って仕事をしてもらうためには?
言われたことしかしない人が、率先して仕事をするマネジメント方法
言われたことしかできない人を動かしていくのは大変な作業に感じる人も多いことでしょう。まるで、石を動かすような感覚があるかもしれません。
私の知り合いの中には、言われたことしかできない部下のことを発達障害ではないかと疑っている人もいました。
時には感情をあらわにして、伝える人もいるかと思います。しかし、それでも変わらないのがほとんど。気持ちで訴えるよりもより有効な手段でマネジメントしていく必要があります。
まずは相手の考えを聞いてみる
なぜ言われたことしかできないのか、その理由は人によって異なります。
そのため、一度相手の考えを聞いてみる必要が出てきます。
過去に怒られた経験があったのか、特に問題なく仕事ができていると考えているのか、そこまで率先して仕事をしたいと思っていないのか。
その理由を知ってから対策を考えていくことで、無駄に労力を減らすことも無くなるでしょう。
ただし「なぜ言われたことしかできないの?」という聞き方は相手に圧迫感を与えてしまいます。信頼関係がよくできていないと、その質問に素直に答えることは難しいでしょう。
いつもの仕事に対して感謝や労いの言葉をかけながら信頼関係を深め、その上でもう一歩だけ進んで取り組んで欲しいことを伝えみましょう。
頼んだ仕事にもう少し頑張りが欲しいときは「〜の仕事が終わったら、何かできることを探してやって欲しいんだけど、何が思いつきますか?」と聞いてみるのもいいかもしれませんね。
何の仕事をすればいいのか分からない人もいますので、一緒に考える機会を作るということも大切な行動の一つです。
そうしたコミュニケーションの一つ一つが、やって欲しい仕事に気がついてもらう機会にもなります。
失敗しても叱りつけない
言われたことしかできない人は、自分に対して自信がない人が多いです。そのため、率先して何かをすることで、それが返って余計なこととなり、叱られるのではないかと考えています。
「進んで何かする=怒られるかもしれない」という考えは、ミスに対して人一倍敏感になり、ミスをしたくないと思います。
では、ミスや失敗をしても見過ごすのかというとそうではありません。言われたことしかできない人には、伝え方を変えていく必要があるのです。
1つ目は、ミスをしたとしても進んでやったことに対して褒めてあげることです。
言われたことしかできない人にとって、自分から何かをすることはとてもチャレンジしていることです。
そのため、そのチャレンジ自体をまずは評価してあげることで、意欲を芽生えさせます。
2つ目に、ミスに対して感情的に叱りつけないことです。
こちらも人間なので、ミスや失敗で迷惑をかけられると気持ち的につい昂ってしまうことはあるでしょう。
しかし、注意したいことを感情的に伝えると、相手にはその内容よりも恐怖心しか伝わりません。
ミスをしないようになるというよりも、あなた自身の表情を恐る恐る伺いながら仕事を進めるようになるので、積極的には動けなくなります。
伝えたいことがある時には、まずは一度気持ちを落ち着けて、相手の意見も聞き、その上でどうすればもっといいのかアドバイスをしてみるといいでしょう。
話しやすい環境を作れば、自分の意見を伝えてくれる頻度が自然と増えてきます。
人は誰でも失敗をしまう。そこから再挑戦できるか、それとも言われたことしかできない人になるかは周囲の関わり方次第です。
仕事の全体像を伝え、ゴールを明確に決めてあげる
指示を出すとき、例えば「明日の会議資料用意しておいて」と、こんな伝え方はしていないでしょうか。
やって欲しいことを端的に伝えるのはとても無駄のない指示の出し方かと思いますが、人によってはこれが言われたことしかできなくなる原因になるのです。
例えば、「胡椒ちょうだい」と言って、その時に塩や砂糖などもついでに持ってくる人はいないことでしょう。
どの仕事でも同じです。指示が具体的かつ簡単であるほど、言われたことのみ取り組んでしまうのです。
指示するポイントは「森、林、木」の順で指示を伝えることです。
- 「森」やって欲しい仕事の全体像を伝える
- 「林」それをクリアするのに必要なものを伝える
- 「木」その人にとりあえず今やって欲しいことを伝える
この3つを伝えることが大切なんですね。
具体的な指示としては「①明日の昼に営業チーム担当者の会議があるんだけど、②会場の準備と、人数分の資料作成が必要なんだよね。③とりあえず君には資料作成をお願いしたいんだけどどうかな」と言った形です。
このように3つのポイントを抑えながら指示を出すことで、自分と相手の頭の中を同じにしていきます。
そうすることで次に取り組むべきことも明確になり、進んで取り組みやすい環境を作ることができます。
「なぜそこまでしなきゃいけないの?自分でもっと考えて欲しい」と思う方もいるかもしれません。こんなに指示を出している時間がもったいないと考える方もいることでしょう。
しかし、最初に少し時間を割くだけで、後のイライラを回避でき、また積極的に動いてもらうことで、全体的には効率よく仕事することができます。
報告、相談しやすい環境を作る
仕事の基本といえば、報連相(ほうれんそう)。つまりコミュニケーションが欠かせません。
言われたことしかできない人は、思ったこと・聞きたいことがあっても言えない時が多いです。
なぜなら、それを言うことで注意されたり、叱られるのではないかと考えるからです。
例えば、頼まれた仕事のことで疑問に思うことがあり、上司に聞いたとします。しかし、その上司は「そんなことも分からないのか。自分で考えてみろ」と突き返した時、その人は「もう聞くのはやめよう」と考え始めます。
コミュニケーションが取りづらくなると、報連相の流れがなくなり、結果として言われたことだけを行う人になってしまうのです。
普段から話しやすい環境になっているでしょうか。相手が萎縮していないか、積極的に話せる環境にあるのか今一度考える振り返ってみるのもいいかもしれませんね。
立場、経歴、勤務年数から人を判断しない
よく「新人のくせに」「平社員のくせに」と言っている人がいます。相手に対して自分の主観でレッテル付けを行っていないか注意してみましょう。
もしかして「言われたことしかできない」というレッテルを貼り付けてしまっている可能性もあります。
人間の心理としてそうしたレッテルを剥がすのはなかなか大変で、その結果、関係性の悪化につながることもあります。
先入観で人を見ないようにしていくと、他人の意見を聞きやすくなり、報連相が取りやすい雰囲気の良い職場になってくるかと思います。
会社に評価の減点主義が染み付いてないか確認してみる
「正しくない」ことをしたら評価を減点する、始末書が毎月何枚も提出されている、人の非難・悪口をよく耳にする。
こうした状態が会社の中にあると、スタッフの頭の中には「目立たずに、淡々と言われたことだけをしてよう」と言う考えになっていきます。
勤務態度が悪いと評価が減点されることもあるでしょう。しかし、その回数が多くなっていないでしょうか。
人はどちらかというと、ミスや失敗に目が行きやすい生き物です。そのため、他人の評価に対して減点をしやすくなります。
会社内にそうした空気が漂っていたら黄色信号。意識的に褒めるようにしたり、他人を認めることでその人の評価が上がるようなシステムに変えていきましょう。
言われたことしかできない人(本人)ができること
言われたこと以外もできるようになるには、その本人が行動することと周りがフォローすることで成り立ちます。
どちらか一方では無く、双方の努力によってより効率的に仕事を進めていくことができるんですね。
周囲ができることは前述した通りですが、自身でできることももちろんありますのでいくつかご紹介します。
やったことを周囲に共有することを、最終目標にする
言われたことしかできないと思われる一番の要因は何だと思いますか。
実は仕事上のコミュニケーション不足なんですね。
どんなに仕事を頑張っていても、自分から伝えないと周りの人たちは気づくことができず、仕事をしていないように考えてしまいます。
自分がやった仕事を上司や周囲の人に報告することで、「言われたことしかできない」というイメージは払拭されていきます。
報告する→また違う仕事をお願いされる→また取り組み報告する。
このループが完成することで、積極的に仕事をこなしてくれる頼れる存在になることもできますよ。
仕事の最終目標を自分で考える
言われたことをやってさらにその先もできるようになるには、ゴールを明確に決める必要があります。
出口がわかれば人は自然とその方向に歩き出し、出口が分からなければ他人が言った通りに動いていきます。
一つ一つの仕事に最終目標を設定してみましょう。
しかし、それが合っているのか不安な時もあるでしょう。もし間違ったことをして怒られるくらいなら、しないほうがいいと考えるかもしれません。
ゴールが明確に分からない時は素直に聞いてみるしかないのです。
何度か聞き、実行してみることでやがて自然に自分から行動を取れるようになっていきます。
このように仕事を依頼してきた人と、ゴールを合わせることが言われたこと以外にも取り組む第一歩になるんですね。
自分の意見を伝えてみる
仕事ができる人の特徴として、自分の意見をしっかりと言う人が多いです。
ただ意見を言うだけではなく、前向きな発言が多いのが特徴です。具体的には、「〇〇した方がいいと思います」などの提案する力が強いです。
同じ意見を言う人間でも、「〇〇はできない」「〇〇したくない」というネガティブな言葉ばかりだと、仕事は前に進まないので周囲からはあまり良い印象は持たれません。
もし現状を何か変えたいのであれば、問題の指摘だけではなく、提案力も必要です。
良くするためにはどうすればいいのか、なぜそう思ったのかも伝えていけると、言われたこと以外もできる仕事に積極的な人という印象をつけることができますよ。
失敗をメモする
言われたこと以外もすると、余計なことだったりするから怒られるのではないかと心配する人もいます。
確かに、仕事の中には今しなくてもいいことがあり、現状に必要なことから実行していくことが必要です。
何を優先して、何を後回しにすべきかを判断できるようになるには過去を振り返って見ることが大切です。
振り返りを行うためには、仕事内容、やったこと、結果などをメモし、いつでも見返せるようにしておきましょう。
後からやった仕事を冷静に見返してみると、あの時は〇〇した方が良かったなどの考える時間が生まれます。
そこで対策を考えておくことで、同じパターンの仕事が来たときにスムーズに動くことができ、最終的には指示がなくても自主的に動けるようになりますよ。
頼まれた仕事に関して何か質問をしてみる
序盤でも書きましたが、指示待ち人間に1番必要なことは「コミュニケーション」です。
言われたら何の疑問も持つことなく、とりあえずやってみるからこそ、支持されたこと以外はできなくなるというループに陥っているんですね。
抜け出すには、どんどんと言葉で相手に伝えること、つまりコミュニケーションが必要なのです。
終わったら結果を報告することができるようになれば、次に頼まれた仕事に対して何か疑問点はないか考えるようにしてみましょう。
「こんな質問をしてもいいのかな」と心配に思う方もいるかもしれません。実際に、「そんなことまだ聞くの?」と言われた経験もあるのかも。
しかし、ここで一歩を踏み出す必要があるのです。疑問があれば素直に聞いてみる。
そして聞いたことは、メモを取るなど、なるべく忘れないように工夫を行ってください。そうすれば、どんどんと仕事のスピードは上がり、また正確にこなすことができますよ。
マニュアルに囚われない
どの職場にも仕事を効率よく、また一定の品質で取り組むためにマニュアルというものが存在すると思います。
マニュアルは今までの業務の積み重ねによってできるもので、おおよその場合それにしたがって取り組んでいれば問題なく進むことでしょう。
特に新入社員など入って間もない方は、まずはマニュアルに合わせて、とりあえず言われたことをしっかりやるという気持ちが大切です。
しかし、5年目などその会社に長く従事しているのであれば、むしろマニュアルに囚われないことが大切になります。
より効率的に、よりよく仕事を進めるためには現状を疑い、改善する必要があります。
それを考え出すことが、言われたこと以外もできるようになるための第一歩になるのです。
言われたことしかできない人は、今こそ殻を破るタイミング!
「言われたことしかできない」「指示待ち思考停止人間」と言われると、大体の人はネガティブに捉えてしまいます
しかし、裏を返せば、それは「指示されたことはきちんとこなせる人」ということになります。
言われたことはできているから、あとはそこから自主性を持って仕事を進める。
自主的に仕事をするとは、コミュニケーションをしっかりと取ること。
つまり、①質問をして共通のゴールを明確に決めること、②何かあれば提案すること、③仕事を終えればきちんと報告をすること、この3つです。
これら3つを実行し、自分の殻を破り、「言われたことしかできない人」から脱出をしましょう。