想像してみてください。
仕事上で怖い上司や苦手な同僚も含め、誰に対しても自分の意見を伝えることができて、それを相手が聞き入れてくれる日があったとしたら。
おそらく多くの人が「そんなのは理想論でありえない」と思うことでしょう。
ただ単に自分の言いたいことだけを言えるのなら、世の中を生きることは難しいことはありません。他人とコミュニケーションを取るには、自分の意見を伝えるだけではなく、相手に分かりやすく気持ちを考えたりしながら上手く話す必要があります。
そうした相手に対しての心遣いが足枷になり、自分の意見が言えなかったり、そもそも話そうと思ってもうまく考えをまとめることができない、自信がなくて伝えられないと悩んでいる方は多くいらっしゃるようです。
確かに自分の意見を隠し、相手の話だけを聞き、言う通りにしていれば大きなトラブルにも合うことも少ないでしょう。
しかし、そうした我慢の積み重ねはストレスや不満となって自分の心を苦しめるだけ。溜め込みすぎていつか爆発してしまうかもしれません。
ここでは自分の意見が伝えられない人に、相手に伝えられるようになる方法をご紹介していきます。
自分の意見が相手に伝えられない原因
自分の意見が言えない原因とは何でしょうか?まずはそれを知るところから始めていきましょう。
原因を知らなければ、いくら話す練習をしても効果がありません。私自身も学生時代は本当に話すことが苦手で、ただ周りにわせて頷いたり、ニコニコしているだけの存在でした。
周囲から見られているキャラクターに自分自身を当てはめて、さもそう思っているかのように振舞っていることも。
それはある種の怖さがあります。自分の意見が他人と違うことに大きな恐怖感があり、周りの人に嫌われないかと不安でした。
こんなにも自分の意見を押し殺しているのは私だけで、他のみんなは自分の言いたいことを言えて良いなと羨ましがったり。
ただ、色んな人から話を聞いたり、調べてみたりするとどうやら同じような考えの人はとても多いようです。
正しい意見・良い意見を言わないといけないと思っている
今、この記事を見ている人の中で、「自分の考えは周りの人と違う」と考えている人、「みんなと少し違うかも」と思ったことのある人は多いのではないでしょうか?
あなた自身だけではなく、仲のいい友人や家族、グループの中心にいる人、道ですれ違う人などほとんどの人が「自分の意見や考え方が、他の人と同じかどうか」と気にしているのです。
そんな一人一人考え方が違うような世界で、「正しさ」「絶対的なもの」というものは存在するのでしょうか?
例えば、目の前でコップの水が溢れたとします。その時、「もったいない」と思うのかそう思わないのかは人によって異なります。
あるのは、「水が溢れた」という事実だけ。後は、その人の主観や考え方です。
このことは、日常生活のどんな場面でも当てはあります。自分の思ったことが、相手の意見と違うからと言って、自分が間違っていると決めつける必要はありません。
大切なことは、他人の「正しさ」や「正義」というものに振り回されないこと、事実だけを冷静に見つめることです。
自分の意見を言うことが怖い
みんなが納得できて、他の人への気遣いができていて、気の利いた一言で意見を言えることができたら、それは素晴らしいことでしょう。
しかし、考え方が十人十色のこの世界で、完璧な意見を言うことはほぼ不可能です。
誰かの正義は誰かの悪。どんなにいい意見でも、人によっては不都合なことが含まれていたりするもの。何かを伝える時に大切なことは、完璧を追い求めすぎないことです。
そうはいっても、やはり「自分が意見を言うことで相手に嫌われたくない」「人とぶつかるくらいなら自分が我慢すればいい」などと考えてしまいますよね。
何も言わないことで争いが生まれることはないかもしれませんが、もしあなた自身の意見が優れたいたとき、結果として後悔する時がきます。
そのように会話の中で協調性を重視している人は、段階的に自分の意見を話していくようにしましょう。
まずは話しやすい人に言いやすい内容から伝えてみるのです。例えば、一番最初で言えば家族に、明日の夜ご飯の献立の提案をしてみるとか。
とにかく自分の意見をアウトプットするという行為が重要なんですね。
何か話しても相手に聞き入れてもらえないと思っている
「どうせ意見を話したところで反論されるし、聞いてくれない」そう思っている人は子供時代に原因があるのかもしれません。
その人がどれくらい積極的に話すことができるかは、子供の時にどれほど親に話を聞いてもらえたかが関わってくるようです
両親が共働きで全然話を聞いてもらえないなどの経験がある人や、何か話しても意見が通らなかった経験が多いと、「何を言っても無駄だろう」などと自分のことを悲観的・否定的に見やすくなります。
その結果、大人になると自分の意見に自信が持てず、相手に話すことが難しい状況になってしまいます。
子供時代にそんな思い出がある人も、もちろん話す回数が重要になってきますが、それよりも楽しく何でも話せる人を作ることが必要になってくるでしょう。
セミナーやオフ会などで多く人と会って話そうとしても、その時に話す内容は当たり障りのないこと。
それでは、心から何か話せる日は来ません。数より質。1人の人とどれだけ深く話せるかが鍵となります。
自分の意見が思い浮かばない・言葉にできない
自分の意見が思いつかない人には2つの原因があります。
1つは、意見を否定されるのが怖くて考えることを止めてしまっていることです
過去に自分の意見を否定されて、考えても無駄だと思っている人はこの原因が当てはまります。
そんな人は、前述の何か話しても相手に聞き入れてもらえないと思っている
を参考にすると良いでしょう。
2つ目は自分の気持ちに向き合う回数です。
思い返してみてください。日頃からどれくらい自分の気持ちと向き合い、素直に行動しているでしょうか。
重要、大切だと思っていない相手の意見は蔑ろにしてしまうもの。それは自他共に同じです。
普段から自分の意見に耳を傾けいなければ、自然にその声が届くことはありません。
どんな意見や考えだとしてもあなたはあなた自身のままでいいのです。まずは自分を大切にしてあげることから始めましょう。
自分の意見が言えないのは何かの病気?
人前で話をしようとすると、急に息が苦しくなり目眩がおこる。
自分の思っていることを相手に話せない人の中には、このような症状に陥る人がいます。それは、ただ単に自分の意見が言えないだけではなく、「社交不安障害」という症状の1つかもしれません。
「社交不安障害」とは、別名「社会不安障害」「社会恐怖症」とも呼ばれており、大人数の目の前で話す時から挨拶をする時でさえも、強いストレス(不安や恐怖、緊張)を感じ、日常生活に支障をきたすほどの症状がでることをさします。
社交不安障害の症状として以下のものがあります。
- 注目されることに強く不安を感じ、何としてもその場を避けようとする
- 人からどう思われているのか、どう見られているのかいつも気になる
- 人前で自身の紹介をされると息苦しくなる、目眩がする
- 電話に出ると必ず声や受話器を持つ手が震える
- 周囲の人の視線を気にして、自分の意見を言えない
- すでに人がいる集団の中に入ることができない
- 人の目の前で字を書く時に手が震える、書くことができない
このような症状が出てしまう原因の1つとして、脳内物質のセロトニンの不足があるようです。
セロトニン分泌のバランスが崩れることで、極度の不安や恐怖心といったものが生まれると言われています。
今、自身の本来の気持ちが出せず、震えたり固まったりしてしまうような方は、心療内科、メンタルヘルスの受診をお勧めします。
心療内科やクリニックでは、セロトニン分泌を増やす薬を処方し、そうした不安障害の軽減につなげてくれます。
ただ単に気持ちの問題と無理をするのではなく、深刻な状態になる前にお医者様に相談してみるのがいいでしょう。
能力が高い人は人の意見を簡単に嘲笑ったりしない
世の中には想像もつかないようなこと、多くの人の予想を覆すような出来事が頻繁に起こっています。
そのような事が起きる原因は、一人の人間が想像できる世界が完璧なものではなく、絶対正しい答えは誰も分からないからです。
しかし、世の中の多くの人は自分の意見が絶対的に正しいと言わんばかりに、人の意見を否定し切り捨てようとします。
どの分野でもプロフェッショナルと呼ばれる人は、人の意見を簡単に否定したり、嘲笑うことはありません。
なぜなら彼らは、自分の考えが必ず合っているものとは思わず常に疑っているからです。
そうした能力の高い人は、他人のどんな意見も見捨てることなくしっかりと聞く傾向にあります。他の人の少しの意見から考えていなかったアイデアを閃いたすることができると、知っているのです。
あなたの意見にも十分な価値がある
盗人にも三分の理という言葉があります。これは泥棒にもそれなりの理由があって悪事を働いていると言う意味です。
私達一人一人に思想や意見があり、そこには価値の優劣をつけることは出来ません。そのどれもが、かけがえのないもので、有益なものになる可能性があるからです。
意見が他人と違うことで、ひどくバカにされることもあるでしょう。しかしそれは、あなた自身の考えが間違っているのではなく、ただ異なるだけです。
自分の意見がすぐに言えるようになるには時間がかかるかもしれません。自分だけが我慢することの無いように、ゆっくりでいいので、思っていることが話せるようになりましょう。